単純ヘルペス(HSV)

単純ヘルペス(HSV)はその性質から1型と2型に分類される。

 1型−主として上半身に感染することから、一般的に「口唇ヘルペス」といわれる。初感染の90%は不顕性といわれるが、顕性の場合小児期では歯肉口内炎、思春期では咽頭扁桃腺炎として発症することが多い。初感染後のあと終生神経節に潜伏し再発性口唇ヘルペスとして発症を繰り返すことがある。

 2型−主として下半身に感染することから、「性器ヘルペス」ともいわれ性行為感染症(STD)の重要な疾患の一つである。しかし、STDとしては1型による初感染の方が症状が重い。他に角結膜炎やヘルペス性皮膚炎、脳炎などをおこすこともある。また性器ヘルペスの母体から垂直感染で生まれた児は重篤な全身性感染を呈することがあり、致命率も高い。

 HSV感染症では大部分が不顕性感染ですでに抗体を保有していることが多いため、単一時点での測定では新しい感染かを判定できないことが多い。ペア血清で測定するのが望ましい。CF、またはNT検査で急性期と回復期で4倍以上の抗体価の上昇があった場合に感染があったと診断される。最近ではシェルバイアル法やPCR法を用いた抗原系の検査も行われており診断も容易になりつつある。

初感染から1カ月後、HSV-1型感染の場合は陽性になりますが、HSV-2型の場合には約30%陰性のままです。しかし、いずれの型でもHSV-IgGHSV-IgM (単純ヘルペス IgM) は陽性化します。一般にIgMの検出は初感染を示します。CFのみまたはIgGのみの陽性は、既感染、しかも1カ月以上前(子供の時かもしれません)に感染した抗体が残っているだけであって、今回の感染を意味していません。


妊婦とヘルペス2型

<妊娠中の発症について>
飲み薬は危険とされていますが、服用による奇形児などの影響がおこる可能性は、何も服用せずに健康な人が出産した時に稀におこる奇形児出産の確立と同じくらい低いそうです。しかしもしそのような結果になった場合も考えると後悔しないためにも服用はやめた方がいいかもしれません。ですが、症状が重く医師から指導があった場合は服用しましょう。
ただし、妊娠初期は胎児への影響が考えられるため服用はやめましょう。(本田先生)

分娩様式 1.初感染(※5)…発症より1ヶ月以内→帝王切開
        発症より1ヶ月以上→経膣出産
2.誘発型(※6)…発症より1週間以内→帝王切開
  再発型…発症より1週間以内→経膣出産
新生児(※7) 生後1週間以上は入院観察

(参考文献:臨床内科医に必要な皮膚科学「ヘルペスウィルス感染症」より)